この記事では新卒採用の概念からメリット・デメリット、新卒採用実施の方法を解説します。
これから新卒採用を始める人や新卒採用の刷新を考えている人におすすめの内容になっています。
おすすめのサービスも紹介しますので、ぜひ最後まで見てみてください。
新卒採用とは
新卒採用(新卒一括採用)とは、これまで正社員として就業経験がなく、学校を卒業したばかりの学生を採用することです。
そもそも「新卒」とは、新規学校卒業予定者の略で、学校教育法に基づき高校、高専・短大、大学を卒業または大学院を修了する学生を指します。
日本では「新卒一括採用」という独自の仕組みがあり、新卒者を対象に毎年同じ時期に一定数の人員を一括採用しています。
新卒採用の一般的な流れとしては、新卒者の卒業・修了年度の春〜秋にかけて選考し、卒業直後の4月入社を目指して採用活動を行います。
ちなみに、厚生労働省の「青少年雇用機会確保指針」では、卒業後3年以内で1度も就職していない既卒者も新卒扱いとする指針が設けられています。
新卒採用のスケジュール
新卒採用のスケジュールは、以下の通りです。
- 大学3年生4月1日~大学3年生9月末:サマーインターンシップ
- 大学3年生10月1日~大学3年生2月末:A/Wインターンシップ
- 大学3年生3月1日~大学4年生9月末:就職活動解禁~選考~内々定
- 大学4年生10月1日:内定式
- 卒業後4月1日:入社式
新卒採用業界最大手の株式会社マイナビの調査によると、インターンシップから動く学生&企業が年々増えており、近年では就職活動解禁よりも前時期に内々定を出す企業が増えています。
新卒採用の流れとしては、インターンシップ(実施の有無は企業ごと)→会社説明会→書類選考→面接→内々定→内定(内定式)→入社(入社式)となっております。
内定式後は、入社まで内定者フォローを実施しているケースが多く、新卒者が入社する準備を企業が手伝うケースが多いです。
新卒採用のメリット6選
新卒採用では、毎年約65万人と多くの学生が一斉に就職活動するため、中途採用よりもマーケットが大きく、優秀な人材と接触できる可能性が高いです。
そんな大きなマーケットである新卒採用を実施するメリットは、以下6つです。
詳細を以下で解説していきます。
将来の幹部候補になり得る優秀な人材を獲得できる
新卒採用のメリットとして、将来の幹部候補になり得る優秀な人材を確保できることがあげられます。
なぜなら、若いうちから様々な仕事を体験させることで、企業理念や自社の強み早期に理解させることができ、経営判断できる幹部候補人材になりやすいからです。
また、新卒入社の社員は、他社での就労経験がない分、企業への忠誠心や愛着心も生まれやすく、高い意識を持って働いてもらえます。
新卒採用を実施する大企業は、中長期的な視点で計画的な人材育成に取り組むケースが多いです。
具体的には、「ジョブローテーション→複数部署を経験→幹部社員に登用する」といった育成計画です。
新卒採用を実施するたびに入社後の育成計画を立てるため、自社の経営目標や事業戦略を改めて見直す機会にもなります。
社内の平均年齢など人員構成の適正化
新卒採用のメリットとして、社内の平均年齢などの人員構成の適正化があげられます。
なぜなら、新卒社員といった20代前半の若手が1度に複数名入社することで、組織内の年齢構成が若返えるからです。
定期的に組織内の年齢構成が若返ることでのメリットとしては、新しい発想が生まれやすいことがあげられます。
ずっと同じメンバーで仕事をしていると、仕事の進め方や考え方が変わらず、新しいアイデアも出てきづらくなり、組織の停滞状態に陥りやすいです。
新卒採用を定期的に実施することで、新しい発想を持つ社員が入社するので、凝り固まった考えがアップデートされやすく、会社としての代謝が良くなります。
組織の活性化・安定した成長につながる
新卒採用のメリットとして、組織の活性化・安定した成長に繋がります。
なぜなら、新卒採用をすることで定期的に組織内の年齢構成が若返り、組織の雰囲気や人間関係に刺激が与えられて、組織の長期的な安定した活性化・成長や存続にも繋がるからです。
具体的には、組織の活性化に伴う新卒社員の教育を通じて、既存の社員は自らの知識やスキルの見直しや、上司のマネジメント力向上も期待できます。
組織全体としても、定期的に新入社員向けのマニュアルのアップロードができたり、行動指針を言語化したりとパフォーマンス向上に繋がります。
企業カルチャーを継承しやすい人材の確保がしやすい
新卒採用のメリットとして、企業カルチャーを継承しやすい人材の確保がしやすいことがあげられます。
なぜなら、新卒採用では、就労経験のない人材を採用するため、自社の経営理念や社風を浸透しやすいからです。
中途採用の場合、前職での考え方や自分のやり方に固執してしまい、カルチャーが合わないことが理由で退職してしまうケースが多いです。
例えば、前職ではチームワークを重視するカルチャーの企業だった場合、転職先が個人主義のカルチャーだと、根底にある価値観が合わないケースがあります。
新卒社員は、価値観が醸成されていないことが多く、企業の求める姿勢や考え方を身につけてもらいやすいと言えます。
研修のスケジュールが立てやすい
新卒採用のメリットとして、研修のスケジュールが立てやすいことがあげられます。
なぜなら、新卒採用では入社時期が全員同じであるため、一括で入社準備や研修を進められるからです。
企業では、新入社員研修・若手研修・管理職研修といった育成計画に沿った研修を用意しているケースが多いです。
また、研修を通して同期との絆も生まれるため、早期離職の防止といった二次効果も期待できます。
採用コストを抑えられる
新卒採用のメリットとして、採用コストを抑えられることがあげられます。
なぜなら、新卒採用では、決まった時期にまとまった人数を採用するので、効率良く人材を確保できるからです。
具体的に、株式会社リクルートキャリアの発表によると、2019年度における新卒採用コストは1人あたり93.6万円、中途採用では103.3万円となっていました。
中途採用で人材紹介サービスを利用する場合は、理論年収の約35%を成果報酬として支払うため、会社規模が大きく、年収の上がり幅が大きい企業ほど、新卒と中途の採用単価の差が開くと言えます。
新卒採用のデメリット4選
新卒採用を実施するデメリットは、以下4つです。
詳細を以下で解説していきます。
採用にかかる時間が長い
新卒採用のデメリットとしては、採用にかかる時間が長いことがあげられます。
中途採用の場合は、応募を受けた際に即選考を実施し、応募から内定までは約1~2か月、内定後は約1~2か月後に入社するのが一般的です。
一方で新卒採用の場合、応募から内定までの採用活動が約1年、内定から入社までが約6か月もの期間が空くため、採用活動から入社までは約1年半になります。
近年では内定を出しても辞退があったりと、内定後もフォローをしないといけないため、中途採用よりも労力を要してしまうという点がデメリットだと言えます。
一定の教育コストがかかる
新卒採用のデメリットとしては、一定の教育コストがかかることがあげられます。
中途採用の場合は、即戦力採用になるため、前職での経験があり、教育コストはほとんどかかりません。
一方で新卒採用の場合は、就労経験がないため、社会人マナーから専門的なスキルまで幅広く教育をしないといけません。
新卒採用での入社は同時期なので、教育・研修はしやすいものの、時間とコストがかかってしまうため、デメリットだと言えます。
就労経験がないため、ミスマッチが起こりやすい
新卒採用のデメリットとしては、就労体験がないため、ミスマッチが起こりやすいことがあげられます。
新卒採用の場合、就労体験がありません。
そのため、自分の適性が曖昧であったり、業務理解が浅く、ミスマッチが起こる可能性が多いです。
昨今ではインターンシップが活発になっており、ミスマッチを防ぐ対策が実施されていますが、短期間でミスマッチを見抜くのは至難の業です。
ですので、内々定までに学生と複数回接触をし、すり合わせをしていくことが大事になってきます。
戦力になるまで時間がかかる
新卒採用のデメリットとしては、戦力になるまでに時間がかかる点があげられます。
中途採用の場合は即戦力になりますが、新卒採用の場合は一人前の社会人になるまで1-3年かかります。
新卒採用では入社後一人前になるまで会社の利益に貢献しにくいため、「先行投資」となってしまう点がデメリットだと言えます。
新卒採用をやるべき企業
新卒採用をやるべき企業は以下2つの特徴を持つ企業です。
詳細を以下で解説していきます。
会社のカルチャーを定着させたい企業
新卒採用をやるべき企業は、会社のカルチャーを定着させたい企業があげられます。
なぜなら新卒採用は、就労体験がないため、真っ白な状態で入社するため、入社企業のカルチャー継承をしやすいからです。
新卒採用を定期的に実施している、定着している企業ほど、カルチャーが定着していると言えます。
定期的に社員の成長意欲を高めたい企業
新卒採用をやるべき企業は、定期的に社員の成長意欲を高めたい企業があげられます。
なぜなら毎年新入社員が入社することで、既存の社員は必然的に教える立場になるため、組織が刺激され、組織の活性化に繋がるからです。
また、これまでにはない考えを持った世代が入社してくるので、これまででは考えられなかったアイディアの発見にも繋がります。
新卒採用向けサービス3種
新卒採用向けサービスは以下3つがあります。
詳細を以下で解説していきます。
就職情報サイト等の求人媒体サービス
新卒採用向けのサービスとしては、就職情報サイト等の求人媒体サービスがあります。
中途採用では、日頃お仕事で忙しいため転職エージェントの利用が多いですが、新卒採用では、学生は時間があるので自ら求人媒体で調べて企業選定してくるケースが多いです。
企業側からしても学生自らが調べて応募してくる求人媒体の方が有効母集団に繋がると思うケースが多いということで、求人媒体からの採用がメインの企業が多いです。
スカウト等の逆求人サービス
新卒採用向けのサービスとしては、スカウト等の逆求人サービスがあります。
新卒採用での逆求人サービスは、理系人材や高学歴の優秀層の採用に利用する企業が多いです。
売り手市場の昨今では、求人媒体以外にピンポイントでアプローチができる逆求人サービスの利用が増えております。
就職エージェント等の新卒紹介サービス
新卒採用向けのサービスとしては、就職エージェントがあります。
就職エージェントでは、企業が出す条件に対して人材紹介会社が学生の選定と選考の進行をしてくれます。
就職エージェントは、人事のお仕事だけでなく、総務や労務と兼業している方には、工数削減といった点でおすすめのサービスです。
新卒採用を失敗しないために注意すること
新卒採用を失敗しないために注意することは以下2つがあります。
詳細を以下で解説していきます。
学生の意識や思考の変化に対応する
新卒採用を失敗しないために注意することは、学生の意思や思考の変化に対応することがあげられます。
なぜなら、あくまで企業を選ぶのは学生になるため、今の学生がどんなことを大事にして考えているのか、といった点を把握することが重要になるからです。
例えば、一昔前だとTwitterのような文字で情報収集をする学生が多かったですが、昨今では画像や動画での情報収集が主流になっています。
企業の学生への広報が、学生の思考とずれていると、伝わるものも伝わらなくなってしまうので、採用成功において、学生の意識や思考の変化に対応することが重要になります。
同業他社等の企業動向を把握する
新卒採用を失敗しないために注意することは、学生の意思や思考の変化に対応することがあげられます。
なぜなら、あくまで企業を選ぶのは学生になるため、今の学生がどんなことを大事にして考えているのか、といった点を把握することが重要になるからです。
例えば、一昔前だとTwitterのような文字で情報収集をする学生が多かったですが、昨今では画像や動画での情報収集が主流になっています。
企業の学生への広報が、学生の思考とずれていると、伝わるものも伝わらなくなってしまうので、採用成功において、学生の意識や思考の変化に対応することが重要になります。
新卒採用を成功させる6step
新卒採用を成功させる6stepは以下の通りです。
6stepの詳細を以下で解説いたします。
新卒採用の目的と求める人物像を明確にする
新卒採用を成功させる6stepのうち1step目は、新卒採用の目的と求める人物像を明確にすることです。
例えば、新卒採用の目的に関して、「年齢構成の適性化」と「将来の幹部候補」では、採用する層が変わってきます。
また、求める人物像に関しても、上位校の採用と中堅校の採用だと、人事が動く時期やバッティングする企業が変わってきます。
なので、新卒採用を成功させるためには、新卒採用の目的と求める人物像を明確にすることが重要だと言えます。
採用計画を立てる
1step目を終えると、2step目は採用計画を立てることがあげられます。
採用計画というのは、新卒採用にどれだけお金や時間・人材を使うことができるか、何人採用するか等の計画です。
採用計画を立てないと、スムーズに採用活動を行うことができず、社内や学生に迷惑をかけてしまう可能性があります。
自社に合った手法を選定する
2step目を終えると、3step目は自社に合った採用手法を選定することがあげられます。
採用計画によって、自社の資本をどれだけ使うことができるか明確になるので、次に採用手法を選定します。
新卒採用サービスを提供している企業の営業担当に採用計画に基づくプランを聞くのがおすすめです。
新入社員の受け入れ体制を構築する
3step目を終えると、4step目は新入社員の受け入れ体制を構築することがあげられます。
新入社員は入社後の研修だけでなく、入社前にOB訪問をしたり、社内見学をしたり、インターンシップに参加します。
そこで、学生対応する現場社員や現場組織を整備しないといけません。
昨今ではハラスメントも注目されているため、人事の方で、学生対応する現場社員の統制をすることが大事になります。
選考を行う
4step目を終えると、5step目はいよいよ選考です。
新卒採用の選考プロセスは、「会社説明会→書類選考→適性検査・面接→内定出し」のが一般的な流れです。
各選考プロセスでは、選考官の主観に依存した採用を防ぐために、見るべき学生のポイントを統制することが重要になります。
内定者のフォロー体制を構築する
5step目を終えると、6step目は内定者フォロー体制の構築になります。
学生は複数内定を持っているかつ、内定をもらったあとも不安を感じているケースが多く、不安を解消した企業へ入社するケースが多いです。
内定者の不安では「会社に対する不安」「仲間に対する不安」「自分に対する不安」があります。
内定直後は「会社に対する不安」が大きな要素になってきますので、人事からの選考のフィードバックや会社理解のための座談会や面談が重要になります。
最後に
新卒採用は計画性と学生の立場に立って広報や選考をすることが重要になってきます。
あくまで企業を選ぶのは学生です。
自社の魅力が100%伝わるように主観と客観のバランスを用いて採用ブランディングすることが重要になっています。
また、計画の立て方や学生動向は新卒採用サービスを提供している会社が良い事例を持っているので、ぜひ頼ってみるのもおすすめです。